Google Workspace セキュリティの基本と注意点|今すぐ実践するセキュリティ対策

DX化

Googleドキュメントは、今この瞬間も第三者に閲覧されているかもしれません。実際に、知らぬ間に重要なファイルが「全員に公開」設定になっていることが少なくありません。Google Workspace((メール、ドキュメント、スプレッドシート、フォームなど)の便利さの裏側には、適切に管理しなければ情報漏洩などの深刻なリスクが潜んでいるのです。正しい知識と基本的な対策を実施するだけで、リスクの大部分は防ぐことができます。この記事では、Google Workspaceを安全に活用するための具体的な方法と注意点を解説します。

Google Workspace セキュリティ対策の基本ルール

Google Workspaceは便利なツールですが、セキュリティ対策を怠ると重大な情報漏洩リスクがあります。ここでは基本となるセキュリティ対策のルールを解説します。

共有設定の落とし穴に注意

Google Workspaceの最大の落とし穴は、意図せず文書が外部に公開されてしまうことです。「全員に公開」の設定一つで、インターネット上の誰でもあなたの文書にアクセスできる状態になります。

「全員に公開」の危険性

Google Workspaceでは「全員に公開」を選ぶと、Googleアカウントを持つ全ユーザーやインターネット上の誰でもアクセス可能な状態になります。安全な共有設定には以下の点に注意しましょう:

  • 新規ファイル作成時には、デフォルトの共有設定を必ず確認する
  • 「限定公開」と「全員に公開」の違いを理解する
  • 定期的に自社のファイル共有設定を監査する

社外共有リンクの使い方

取引先や顧客とファイルを共有する際には、適切な権限設定が重要です:

  1. 「リンクを知っている人全員」ではなく「特定のユーザー」を選択
  2. 編集権限ではなく、閲覧または閲覧+コメント権限を付与する
  3. 必要に応じて「ダウンロード・印刷・コピーを無効にする」オプションを活用
  4. 必要な期間が過ぎたら共有設定を見直す

チームフォルダと個人ドライブの使い分け

効率的かつ安全なファイル管理のためのルールを定めましょう:

  • 共有ドライブ:チーム全体で使用する文書、長期保存が必要な公式文書
  • マイドライブ:個人的な作業ファイル、下書き段階の文書
  • フォルダ構造を統一し、アクセス権限をグループ単位で設定
  • 定期的なファイル整理と不要な共有設定の解除

パスワードと2段階認証の強化

アカウント乗っ取りはGoogle Workspaceでの情報漏洩の主要な原因の一つです。強固な認証システムで不正アクセスを防ぎましょう。

パスワード管理の基本

強固なパスワード管理は基本中の基本です:

  1. 最低12文字以上の長さで、大文字・小文字・数字・記号を組み合わせる
  2. 複数のサービスで同じパスワードを使い回さない
  3. パスワード管理ツール(LastPassやBitwarden等)の活用
  4. 90日ごとのパスワード変更ルールを設ける

2段階認証プロセスの導入方法

2段階認証は不正アクセスの防止に非常に効果的です。Google Workspaceでの設定手順は以下の通りです:

  1. 管理コンソール(admin.google.com)にアクセス
  2. セキュリティ > 認証 > 2段階認証プロセス を開く
  3. 「すべてのユーザーに2段階認証プロセスを適用」を有効化
  4. 認証方法として「Google認証システム」アプリまたは「セキュリティキー」を推奨

モバイル端末からのアクセス制御

社員のスマートフォンからのアクセスも適切に管理する必要があります:

  • モバイルデバイス管理(MDM)の設定
  • 画面ロックの義務付け
  • 紛失時のリモートワイプ機能の設定
  • 個人端末からの機密情報アクセスポリシーの策定

Google Workspace セキュリティに必要なアカウント管理

適切なアカウント管理は、継続的なセキュリティ維持に不可欠です。社員の入退社や組織変更に伴うアクセス権の管理を徹底しましょう。

社員の入退社時に必要な作業チェックリスト

人事異動時のアカウント管理は情報漏洩防止の要です:

入社時:

  • アカウント作成と適切な権限グループへの割り当て
  • 社内セキュリティポリシーのトレーニング実施
  • 2段階認証の設定サポート

退社時:

  • アカウントの即時停止
  • 共有ドライブからのアクセス権削除
  • 個人所有の端末からの会社データ削除確認
  • 60日後のアカウント完全削除(データバックアップ後)

Google Workspace セキュリティを実務で守るコツ

セキュリティポリシーを立てても、日常業務での意識がなければ効果は限定的です。実際の業務の中で確実にセキュリティを守るための実践的なコツを解説します。

メールの誤送信を防ぐ工夫

メール誤送信は最も頻繁に発生するセキュリティインシデントの一つです。基本的な対策で防止できるケースがほとんどです。

アドレス自動補完のリスク

Gmailのアドレス自動補完機能は便利ですが、誤送信のリスクも高まります:

  • 送信前の宛先再確認を習慣化
  • 社内と社外のメールアドレスを明確に区別(ラベル活用)
  • 類似した名前の連絡先に視覚的マーカーを設定
  • 特に重要なメールは送信前に同僚にチェック依頼

添付ファイルの確認ルール

ファイル添付の際の注意点:

  1. 送信前の添付ファイル内容の最終確認
  2. 可能な限りGoogleドライブリンク共有を優先(アクセス制御が可能)
  3. 個人情報を含むファイルはパスワード保護
  4. 「返信」時の不要な添付ファイル削除

ラベルやフィルターの活用

効率的かつ安全なメール管理には:

  • 外部ドメインに「外部」ラベル自動適用
  • 重要顧客や取引先専用のラベル作成
  • フィッシング対策フィルターの設定
  • 社内限定情報を含むメールの自動マーキング

スプレッドシート・ドキュメントの履歴活用

Google Workspaceの履歴機能は、情報の正確性維持とセキュリティ対策の両面で役立ちます。

バージョン履歴でミスを防ぐ

データ損失や誤編集を防ぐための履歴活用法:

  1. 重要な更新前の名前付きバージョン保存(ファイル > バージョン履歴 > 名前付きバージョンを保存)
  2. 定期的なバージョンポイント作成
  3. 変更点の確認方法と元に戻す手順の共有
  4. 長期保存が必要な文書のPDF出力保存

アクティビティログで編集者を確認

変更の追跡とアカウンタビリティの確保:

  • 「ツール > アクティビティダッシュボード」での確認方法
  • 不審な編集や閲覧の検出
  • 文書の閲覧・ダウンロード履歴の確認
  • チーム内での変更通知設定

編集権限と閲覧権限の運用ルール

適切な権限設定でデータの整合性を維持:

  • 編集権限は最小限の担当者のみに付与
  • コメント権限を活用した変更提案ワークフロー
  • 外部共有時は原則として閲覧権限のみ
  • 特定範囲のみを保護する「保護されたシート」機能の活用

まとめ

Google Workspaceは中小企業にとって業務効率化の強力なツールですが、セキュリティを意識しなければ重大なリスクも伴います。特に「全員に公開」などの共有設定の落とし穴、アカウント管理の不備、日常業務での誤操作などは、ビジネスの信頼性に直結する問題となり得ます。

「使いっぱなし」にせず、日常的にセキュリティルールを整えることが信頼や事故防止に繋がります。この記事で紹介した具体的な対策を一つずつ実施し、定期的な見直しを行うことで、Google Workspaceのセキュリティレベルは着実に向上します。セキュリティと利便性のバランスを取りながら、Google Workspaceを安心して活用していきましょう。


※本記事の内容は2025年4月時点の情報に基づいています。Google Workspaceの機能やインターフェースは定期的に更新されるため、最新の公式ヘルプページも併せてご確認ください。