脱Excel!今こそスプレッドシートへ乗り換えるべき理由

DX化

ずっとExcelを使ってきたけど、そろそろ他の方法を探したい…と考えている方も多いのではないでしょうか。実際、私が所属するプロジェクトでは作成物はGoogleスプレッドシート・スライドへ移行しています。本記事では、ExcelからGoogleスプレッドシートへ乗り換えるメリットや、実際にどう進めるかをわかりやすく解説します。経費削減だけでなく、業務効率化にもつながるGoogleスプレッドシートの魅力を知れば、「もっと早く乗り換えればよかった」と感じるはずです。

脱Excelとは?スプレッドシートへ乗り換えの背景とメリット

「脱Excel」とは、Microsoft Excelからの脱却を図り、代替ツールへ移行する動きを指します。特に中小企業や個人事業主の間で、Googleスプレッドシートへの乗り換えが注目されています。なぜ今、この動きが加速しているのでしょうか?

Office365の価格が上がる中、小規模事業者にとってのコスト負担とは

Microsoft Office365(現Microsoft 365)の価格は2025年1月17日に個人向けプランが値上げされ、2025年4月1日にも法人向けプランが値上げされます。また、日本マイクロソフト株式会社は、今後も半期ごとに製品価格を見直す方針を明言しています。

使用してない機能にまで課金されている Word、PowerPoint、OneNoteなど多くのアプリケーションがセットになっていますが、実際には表計算(Excel)しか使わないという事業者も少なくありません。更に、2015年の値上げ理由となったAI支援ツール「Microsoft Copilot」も標準搭載となりますが、利用しないユーザにとっては不要な機能となってしまいます。

ライセンス管理の手間 ユーザー数に応じたライセンス管理も煩雑です。社員の入れ替わりがあるたびにライセンス付け替えの手続きが必要で、小規模事業者にとっては余計な管理コストとなっています。

Googleスプレッドシートは”完全無料”で始められる

Excelと違い、Googleスプレッドシートには驚くべきメリットがあります。それは「無料」で利用できることです。

Googleアカウントだけで使える すでにGmailなどを使っている方なら、追加料金なしですぐに利用開始できます。新規アカウント作成も無料で、メールアドレスがあれば5分もかからず準備完了です。

台数制限なし・共有無制限 1つのアカウントで複数のデバイスからアクセスでき、何台のPCにインストールするかを気にする必要がありません。また、共有できる人数にも制限がなく、取引先や外部協力者とも簡単に連携できます。

クラウド保存でPC容量も安心 基本的にファイルはクラウド上に保存されるため、PCのストレージ容量を圧迫しません。無料のGoogleアカウントでも15GBのストレージが提供され、テキストベースのスプレッドシートなら数千ファイルを保存できる容量です。

インストール不要!どこでも使える便利さ

Googleスプレッドシートはブラウザベースのアプリケーションなので、インストール作業は一切不要です。これにより様々なメリットが生まれています。

自宅・会社・外出先、スマホやタブレットでも編集可能 PCはもちろん、スマートフォンやタブレットからもアクセス可能です。移動中の電車内や取引先訪問時にもデータ確認や簡単な編集ができます。スマホ用アプリも無料で提供されており、オフライン編集機能も備えています。

WindowsでもMacでも関係なし OSを選ばないため、会社はWindows、自宅はMacといった環境でも全く同じ操作感で作業できます。OSごとの互換性問題に悩まされることもありません。

ファイル紛失・壊れる心配がない 自動保存機能により、入力内容は即座にクラウドに保存されます。PCがクラッシュしても、作業内容が失われる心配はほとんどありません。また、USBメモリの紛失やファイル破損によるデータ喪失リスクも大幅に軽減されます。

複数人の同時編集・コメント・履歴管理が強力

チームでの作業において、Googleスプレッドシートは圧倒的な優位性を持っています。

在宅スタッフともリアルタイム共有 複数人が同時に1つのファイルを編集できるため、「ファイルが開けない」「上書き保存してしまった」といったトラブルがなくなります。在宅勤務者とのスムーズな情報共有にも最適です。

誰がどこを編集したかがすぐ分かる 各ユーザーの編集箇所は異なる色で表示されるため、誰がどのセルを編集しているかが一目で分かります。また、編集履歴から「誰が」「いつ」「どのように」変更したかを確認できます。

誤操作があっても履歴で復元可能 バージョン履歴機能により、過去の任意の時点の状態に戻すことができます。誤って大量のデータを削除してしまった場合でも、簡単に復元可能です。過去30日間の変更履歴にアクセスでき、重要なファイルなら特定のバージョンに名前を付けて永続的に保存することも可能です。

筆者もこれまで、Excelで作ったファイルが壊れて最初から作り直しという悲劇を経験してきましたが、スプレッドシートではこのような悲劇は発生しません。違う拠点にいる複数人が同じスプレッドシートを編集できるため、仕事も何かとスムーズに進みます。

Excelからスプレッドシートに移行する方法と注意点

Excelからの移行に不安を感じる方も多いと思いますが、実際の移行プロセスは意外と簡単です。ここでは、スムーズな移行のためのステップと注意点を解説します。

まずは「Excelファイルをアップロードする」ところから

Googleスプレッドシートへの移行は、既存のExcelファイルをアップロードするところから始めましょう。

ドラッグ&ドロップで簡単移行

  1. Googleドライブ(drive.google.com)にアクセスしてログイン
  2. 画面の「新規」ボタンをクリック→「ファイルのアップロード」を選択
  3. ExcelファイルをPCから選択する(または直接ドラッグ&ドロップも可能)
  4. アップロード完了後、ファイルを右クリック→「アプリで開く」→「Googleスプレッドシート」を選択

これだけで、Excelファイルがスプレッドシート形式に変換されます。変換後も元のExcelファイルは残るため、万が一の際にも安心です。

互換性の高いファイル形式 基本的な表計算データであれば、ほぼ完璧に変換されます。書式設定、関数、グラフなども大部分が維持されるため、すぐに作業を継続できます。また、必要に応じてスプレッドシートからExcel形式(.xlsx)で再エクスポートすることも可能です。

よくある不安とその解消方法

Excelからの移行で最も不安に感じる点は、機能の互換性です。主な懸念点について解説します。

「関数はそのまま使える?」→ ほとんど対応可能 Excelの主要関数はほぼすべてスプレッドシートでも利用できます。

  • 基本関数(SUM、AVERAGE、COUNT、IF)は全く同じ構文で使用可能
  • VLOOKUP、HLOOKUP、MATCH、INDEXなどの検索関数も同様に使えます
  • より高度な関数については、スプレッドシート独自の関数(QUERY、FILTERなど)が代替として利用可能

スプレッドシートには「=」を入力すると関数候補が表示される便利な機能もあり、関数の使い方を学ぶのも容易です。

「マクロは使えるの?」→ Google Apps Scriptで代替可能 ExcelのVBAマクロは直接変換できませんが、Google Apps Scriptという類似のスクリプト機能が利用できます。

  • JavaScriptベースの言語なので、プログラミング経験者なら比較的習得しやすい
  • スプレッドシートのメニューから「拡張機能」→「Apps Script」で簡単にアクセス
  • 基本的な自動化(定期的なデータ更新、メール送信、条件付き書式など)は初心者でも実装可能
  • オンライン上に多数のサンプルコードやチュートリアルが公開されている

「レイアウト崩れない?」→ 再チェックは必要だけど、意外と大丈夫 複雑なフォーマットや特殊な機能を使用していない限り、ほとんどの場合問題なく変換されます。

  • セルの書式設定(色、罫線、フォント)はほぼ維持される
  • 複雑な条件付き書式は一部再設定が必要な場合がある
  • ピボットテーブルは機能的に同等だが、UIが異なるため慣れが必要
  • 特殊なグラフは一部機能が制限される可能性があるので、変換後に確認が必要

移行後は必ず全体をチェックし、重要な部分は機能テストをしておくことをおすすめします。

業務で使うなら最低限これだけ設定しよう

実際の業務でスプレッドシートを活用するために、最低限知っておくべき設定を紹介します。

共有権限(編集/閲覧)

  1. スプレッドシート右上の「共有」ボタンをクリック
  2. メールアドレスを入力し、権限レベルを選択
    • 「閲覧者」:データの閲覧のみ可能
    • 「コメント可」:コメントの追加はできるが、データ編集はできない
    • 「編集者」:自由に編集可能
  3. 「詳細設定」から「リンクを知っている人全員」に変更することで、リンク共有も可能

共有相手によって適切な権限を設定し、意図しない編集を防止しましょう。

バージョン履歴の確認方法

  1. メニューの「ファイル」→「バージョン履歴」→「バージョン履歴を表示」を選択
  2. 右側に表示される履歴から確認したい時点を選択
  3. 重要なバージョンは「名前を付けて保存」しておくと便利

定期的にバージョンの確認と保存を行うことで、トラブル時の対応が容易になります。

コメントとメモの使い分け

  • コメント:特定のセルに対して質問や指摘を行う場合(メンバーに通知が送られる)
    • セルを選択→右クリック→「コメント」または「Ctrl+Alt+M」
  • メモ:自分用のメモや説明を残す場合(他のユーザーには小さな三角マークとして表示)
    • セルを選択→右クリック→「メモを挿入」

コメントはコミュニケーションツールとして、メモは補足情報として使い分けましょう。

まとめ:脱Excelで”コストも業務も”もっとスマートに!

Googleスプレッドシートへの移行は、単なるコスト削減策にとどまらず、業務のあり方そのものを変革する可能性を秘めています。本記事で紹介した5つの理由をおさらいしましょう。

  1. コスト削減: Office365の値上げ対策として、完全無料で使えるスプレッドシートは大きな武器になります
  2. インストール不要: どのデバイスからでもアクセスでき、メンテナンスの手間も省けます
  3. リアルタイム共同編集: 複数人での同時作業が可能で、情報共有の質が格段に向上します
  4. 自動保存・バージョン管理: データ消失のリスクが大幅に減少し、安心して作業できます
  5. 拡張性と連携性: 他のGoogleサービス(フォーム、ドキュメントなど)との連携で業務を自動化できます

Excelから乗り換える際には確かに多少の学習コストはかかりますが、そのリターンは大きく、特に小規模事業者や個人事業主にとっては大きなメリットとなるでしょう。

まだExcelを使い続けますか?今こそ無料で手軽なスプレッドシートへ移行し、業務効率化と経費削減を同時に実現しましょう。「とりあえず1つのファイルから試してみる」という小さな一歩からでも構いません。